クレームで店を試す勇気

先日、飲食店向けにこのようなシステムについて掲載があった。

無断キャンセル問題を解けるか、飲食店が客を「逆評価」するAIサービスの衝撃

https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00138/012000463/?n_cid=nbpnxt_twbn

日経 xTECH/日経コンピュータ

全文は日経のアカウントが必要なので、読めない方もいるとは思いますが、顧客の信用度を事前にチェックするというシステム。
ある予約システムの過去実績から問題顧客をAIで判定するそうだ。ただ、最初は「顧客がシステムに登録利用を承諾した上で、その情報が共有される」とのこと。

ということは、
ここに登録する=マナーの悪い顧客はほとんどいない
(理由:無断キャンセル繰り返すような人は登録しづらいから)

という店舗側からの判断材料になるのでは無いかと思います。

願わくば、
「この人は悪い顧客ですね。過去2ヶ月に3回もノーショー(無断キャンセル)していますよ。この人の予約は断りませんか?」とシステムのAIあkら提案してほしいくらいですが、そんな事する人が実名予約するかと考えると悩ましいですね。悪い顧客を掘り出すのはなかなか大変なんだろうと思います。そんな中、少しでも顧客対応リスクを減らしたいという理念をもったシステムと勝手に解釈しております。

顧客の選定、すばらしい事だと思います。

顧客だって、どうしようもないやつもいます。
お店に来てマナー悪い人とかもいますが、無断キャンセルなんて言語道断です。
その程度のマナーも守れない人は顧客ではありません。

ただ、判定材料がない以上、気を配らなければならないお店側はたまりません。
そしてそんな被害が広がれば広がるほど、マナーの良いまともな優良顧客への対応だって当然保険をかけたものになっていきます。
お店側からすれば、

「こいつ、予約はじめてだな。本当に大丈夫か?へんやなつかもしれない。本当ならもっと良いのも有るが、やめておこう、くわばらくわばら。」

なんて思いますよね、人は一度あった被害や痛みはそう簡単に忘れられません。
前にバカ顧客がいたために、次の顧客も保険かけられて大迷惑です。

来るか来ないかわからない顧客の予約なんて、仮にそのための仕入れがなかったとしても、席空けておいただけムダ。そしてそれに気を配らせられた店員の気持ちもムダ。そりゃお店側からすれば恐ろしくなるはず。

店員さんの「負の気持ち」は伝播する

たとえば店長はアルバイトに「こういうノーショー野郎がいるから困るんだよ、事前の見極めできないと困るね」と言ったとします。

店長さんは同じ店の仲間なので、ほんの少し愚痴をこぼしただけかもしれません。 ただその気持ちは少しづつ伝播していきます。

アルバイトの人は「へー顧客でも変なやついるんだね。迷惑だね。」という印象になるんです。「そういえばこの間も、へんな客いたな、めちゃくちゃ怒られたな。変なやつもいるから、顧客といえども過剰に気を使う必要はないかもな。」

すこしづつ、接客に負の要素がまじりこみます。
酷い対応はしなくとも、「とりあえず接客」になります。

優良顧客だとしても接客に力が入りません。
そしてこのアルバイトの負の要素は、他のアルバイトにも伝播します。

そして出来上がる、活気のない店員さん軍団。
そこはかとなく漂う「働いてやっている感」に顧客が感じるのは
なんとなくイラッとするお店空間。

優良顧客は訪問後、こう感じます。
「おいしいけど、ちょっと店員がダメなんだよね。」
「あの程度はどこにでもあるよ。」

競争激しい飲食業界、行くところは山程あります。
なにかおもしろく無いと二度と訪問することはないでしょう。もちろん口コミもない、紹介ありません。

私は別に飲食コンサルでもありませんが、良く外食をするので顧客目線で感じていることです。

ただ、クレーマー推進者として気になるのは、
「やっぱり来てくれた人に良い対応やサービスをしないとだめだな。お店側にとってクレームって大事にだな。」と心から思います。

だって、だれもクレームしてくれませんよ。面倒ですから。
普通なら「二度とこない」で終わりです。

私は美味しいだけのお店に、大事な人を連れていきません。
むしろ、店員さんレベルが高い方に連れていきます。
その方がはるかに安心です。

そしていつも思うのが、「ちょっと気が利く店員さん」がいるだけで、
クレームしやすくなるんです。
は?意味分かんないという方いると思いますが、こう考えてください。

ちょっとお店の中が暑いな、と思ったとします。
話しやすい店員さんが居たら「ちょっと暑いんですけど温度下げてもらえませんか。」って言いやすくないですか?これはある意味の小さなクレーム行為であり、請求行為です。
すると「申し訳ありません!すぐ下げますね!」と言って素早く行動してくれたその店員さんが数分後、「温度下げてみましたが、いかがですか?下げ過ぎちゃいましたかね。」なんて来てくれたら、絶対お礼をいいますよね。
ありがとう、大丈夫。お手数をおかけしました、と。

そしてその後「いい店員さんだな。わざわざ確認してくれて」とホカホカする気持ちになると思います。「お世話になりました、また来ますね。」という挨拶とともにお店を出ます。

この時点で私だったほぼ再訪確定です。
まあ、あまりにも料理がまずかったら行けませんがね。笑

店員さんも「また来てほしいな、接客って良いな」という事になりますよね。

この逆は地味に悲しいです

「ちょっと暑いんですけど」というクレーム。
温度を下げるお願いをしてもいっこうにさがらず、汗をかきながら食事をしていたとします。いい加減にイライラして、「すいません、温度下げていただけましたか?」と催促したとします。そんな時、忙しい店員さんがめんどくさそうに、

「下げました、これ以上下がりません。」と言ってきたとします。
私なら、融通がきけば即帰ります。そしてもちろん二度と来ませんし、
友人知人にも「あそこは店員が最悪よ」と言いふらします。

「あの店、行ったことある?」

非常によくある会話ですね。誰かと合うと必ず一回は出てくるキーワードじゃないか、と私なんかは思います。
悪いレビューは口頭で友人知人に共有します。お店に行って、へたに嫌な気持ちになってもらいたくないからです。たとえどんなに料理が美味しくても、はっきり伝えます。「店員態度がわるいけど、美味しいですよ。私は2度行きませんけどね。」と伝えます。

せっかく行ったことのあるお店なので、中途半端な紹介ではなく、はっきりとした意見を伝えられます。

これもクレーム効果なんです

なぜ、はっきりできるかというと、この時「暑い、温度を下げてほしい」というクレーム(請求)をしていたからなんです。
その体験していますので、 店員の質が悪いとはっきり言えます。
だからはっきりとした当てになる、意見を伝えることができるのです。

クレームした時、どうしたら良かったかを自分でも考えてみる

「空調の都合上、仕方なかったんじゃない?忙しくてかまってられなかったんじゃない?だから無愛想んだったんだよ。」という勝手に優しい判断をする人もいます。確かにそうですね。

でも考えてみてください。仮にこんなパターンでしたら、随分印象違いませんか?

「空調は下げたのですが、思ったより下がらないため、お席を移動とも思いましたが、現在満席でして本当に申し訳ございません。店長には伝えておきました。」
「冷たいおしぼりをお使いください」「お水をお持ちしました」
とか、何もできない中でも、顧客を思う気持ちを表すことなんて、ちょっと考えれば結構あるんです。

ただしいクレームをすると、頭が働きますので、これは考えると面白いです。
「私だったら次回サービス券もらいたい」とか、自分に都合の良いことでも考えておくと、次回そういうお店にあたった時、「おお、ここは良いかも。」と判断基準が出来ていきます。

店員当たり外れ問題

よく言われます。「店員さんにも当たり外れあるんじゃない?」という話。
しかしこれは言い出したらきりがないのと意味がないのです。

端的にいうと、

「店員に当たり外れあるお店に、友人知人や大事な人を紹介しますか?」

ということです。

「今日はラッキーだったね」なんて接客には誰も求めていません。いつも安定した接客サービスを希望します。

ちょっと単純な例だったかもしれませんが、
「暑いですね」というクレーム一つでも、そのお店のイズムを相当図ることができます。
繁盛店でも忙しすぎてアルバイト店員に頭が上がらないのか
そもそもやる気がないのか、人を紹介して良いレベルなのか、です。

そうすれば、デートの店も、同窓会のお店も、やらせも多い口コミサイトだけで選んで失敗するようなこともなくなります。

いろいろありますが、クレームの一番大事な目的は、自分自身が幸せになることです。交渉能力も鍛えられます、ぜひ試してみてはいかがでしょうか?