賃貸でクレーム

ワタシのクレーム履歴でも、これは時間が掛かった案件です。
今から5年ほど前でしょうか。
クレーム先は大手不動産管理会社です。

仕事の都合で、3年ほどある地域に住み着きました。
まあ、東京郊外の田舎ですね。よくある「全室おんなじ方向に窓が付いているマンション」です。
公園もいっぱいあって子育てには良い地域でした。春に入居して、夏が過ぎ、冬を迎えました。すると

結露がハンパない!

住んで気づいたのですが、冬場の結露がハンパない。
朝になるとベランダもドア窓も「ビッショビショ」です。
結露ってすげー!と本当に思いました。
こんなにビショビショになるなんて。

とにかく雑巾を毎朝かけ、拭き掃除。
このころは産休中でしたので、時間はありましたし、結構頑張りました。
結露防止シートを貼り、換気につとめた結果…。

洋服、家具、保管品がカビだらけになりましたよ。

そしてさらに大問題。
上の子が2歳、下の子が産まれたばかり。
上の子が咳ばかりしているので、毎月市立病院へ通っていました。
さすがに2歳では薬も飲めずに咳はひどくなるばかりでした。
アレルギーだから仕方ないと思っていましたが、ご存知の通りハウスダストは
アレルギーの大きな原因です。ワタシは専門家ではありませんが、調べていくと結露によるカビはアレルギーの原因になるとのこと。

ワタシはあるリストを手に、大手不動産会社に訪問しました。
そのリストは「結露被害リスト」です。
家具、洋服、思い出の品、おもちゃにかばん、全部リストアップしました。
目的は結露に対するクレームです。

最初に話したのは不動産管理会社担当の営業さんでした。
当然不動産管理会社も最初は、「結露は住民によるから」とか、「他の住民はなんとも言っていない」とか、「あんまり言われると出ていってもらわなくてはならないかも」とスイートな脅し?はありました。
「構うもんか」と腹をくくり、じっくり交渉しました。
管理会社は諦めたのか、所長と担当が変わりました。

協議の結果、不動産管理会社は折れ、まる3日に渡る壁工事を提案してきました。「他の住民には言わないでね」とお願いつきでした。
「約束できません」、と管理会社のお願いは拒否しました。
だって、きっと他の部屋も同じはずですよね?内緒にするなんて無理です。

ただ、工事までしてくれると言ってくれてるのなら、クレームばかりも言えないと思い承諾しました。断熱材を入れ替えて、結露対策をするということです。
壁を壊していましたので、寒いのなんの。笑

結構な工事が開始されました。音もすごいし、設備も結構大掛かりです。
すると工事を見た下の住民、上の住民が代わる代わる現れ、
「なんで工事しているんですか?」と聞いてきます。
「結露がひどいので、工事してもらっています」というと、皆一様に
「うちもなんですよ…。」と。
今まで会話もしたこと無い人ですが、すっかり「どうしたらいいですか?」と相談されました。
ただ、工事が終わらないことには、効果あるかはわかりませんでしたので、そのように住民の方にはお伝えしました。

工事が終わり、効果測定となりました。1週間様子をみました。
残念ながら効果はありませんでした。建築物のそのものが、結露対策出来ていないことがわかりました。そこまで古い建物ではないのですが、密閉度が高すぎるとか、材質、構造でそのような事がおこるようです。
残念な結果と他の住民の方も同じだったという事を不動産管理会社に伝え、
「どうするか再度検討してください」と再度クレーム。
管理会社はもう手のほどこしようもなかったようです。
こちらが催促する「対策案」を出せず、催促しつづけると「引っ越ししますか?」という代案をちらつかせてきました。
ふーん、そうか。なら結露がない家に引っ越しさせてもらうかな、長引くと娘が心配だし、と新しい条件でも出そうかと思っていました。

するとそんな矢先、この地域での仕事が終わり、我が家引っ越しすることになりました。あら、なんということですか。
急でしたので、新しい地域での家探しが始まりました。
もちろん賃貸探しの一番大事な条件は「結露がないこと」でした。

引っ越し3ヶ月前には新居候補が決まりました。
ワタシは前に作成した「被害リスト」に被害予想金額を書き込み、
最後に娘の咳の診断書のコピーを付け、不動産管理会社に提出しました。

なぜ診断書を添付したのか

当然ですが診断書には、「咳の原因は結露のせいです」とは書いてありません。
ただ、「もしかしたらそうかもしれないね」、と担当医が言っていたので、添付しました。担当医も「確定することではありません。」と念を押していました。

管理会社は「訴訟問題にでも発展したら」と恐れたのか、子供の体調や状況や、何度も確認されました。別に訴訟するつもりはありませんでしたが、こちらの本気度が伝わると思い提出しました。

その後、結露被害は受理され、不動産管理会社に20万程度の損害金をクレーム(請求)しました。
内容は結露被害リストに載せた物品の価格プラス、ワタシの工賃(労力)です。
ベッドと洋服だけでもすぐ10万超えました。
それに10日程度の労力を50,000円程度、載せました。
稟議後、即全額支払われました。

引越し後、1年ほどで娘の咳はあっさり治りました。
体の成長もありましたが、多分結露も原因だったようです。

これはかなり面倒なクレームでした。
不動産管理会社は、とにかくクレーム慣れしています。
なだめ方もかわし方も素晴らしいもんです。
工事をしてくれたこと
引っ越しを提案してくれたこと
この点は彼らは前向きに対応してくれました。
あのまま住み続け、娘の咳が悪化していたら、訴訟したかもしれません。

いろいろありますが、「金品を受け取る」だけがクレームではありません。
納得できる着地点を考えれば、かならずクレームは成立するという例でした。